山下佳恵詩集『あなたへ』


貧乏草と呼ばれても


桜の花びらが散り
黄緑の葉がつぎつぎ開きはじめるころ
地面にへばりついていた葉から
すっと大きく背伸びする

北米の大地から
日本に連れてこられ
強くたくましく殖えた花 ハルジオン
殖えすぎて迫害を受けても耐えた花

蕾は深くうつむいて
花咲く日を待っている

そよ風に微笑むように揺れ
強い風にしなやかに揺れる 細い茎

さあ
うつむいていた顔をあげて
空に向かって花を咲かせて

春に咲く白いひまわりのように
草むらを照らす白い街灯のように
空き地に降る白い淡雪のように



咲いて

たとえ貧乏草と呼ばれても



「 貧乏草と呼ばれても 」( 了 )

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